三国志(演義)を読もうと思っているのですが、本の数が多く誰が執筆したものが読みやすいか、どれが史実に最も沿ったものを書いているか判断ができません。読みやすく史実によく沿っているものを教えてください。
また、三国志と三国志演義ではどちらを読んでも大差はありませんか?
出来れば両方読んでみたいと思っています。
横山三国志などの漫画は考えていません。
正史三国志と、三国志演義は、まったく異質のものです。
いきなり、正史三国志から入るのは危険(?)です。
正史は、読み物としては、面白いものではありませんので、
三国志の興味を失いかねません。
現在、最も史実に近いと評判なのは、
〇三国志(宮城谷昌光)刊行中
宮城谷さんらしいですね。
曹操のお爺さん時代から始まります。
単行本で7巻、文庫本で2巻刊行中、まだ続きます。
どこまで続くのでしょう。今後が期待です。
読み易いのですが、刊行途中ですし、
三国志中級~のレベルです。
まずは、オーソドックスに、
諸葛亮が五丈原で陣没するまでの作品は、
以下の4種があります。
〇三国志(吉川英治)講談社全8巻
日本の三国志といえば、この吉川三国志です。
入門編としてじゃ最適ですし、読みやすいです。
この入門編だけで終わってしまう方が多いのが残念です。
〇完訳三国志(村上和行)教養文庫全5巻
村上さんの作品は好きなんですが、これはもう一つですね。
〇秘本三国志(陳瞬臣)文春文庫全6巻
この人の作品は安心して読めます。
三国志以外の中国歴史小説もいいですよ。
〇興亡三国志(三好徹)集英社全5巻
ダイナミックな切り口で、読みやすくお勧めです。
お勧めは陳さんの秘本三国志ですが、
三好さんの興亡三国志も捨てがたしです。
割と評判いいですし・・。
ストーリーは変えようが無いので流れは当然一緒です。
諸葛亮死後も含めて下段へどうぞ・・・。
〇英雄三国志(柴田練三郎)集英社全6巻
〇英雄生きるべきか死すべきか(柴田練三郎)集英社全3巻
さすが柴練って感じですが、芝居かかった書き方は、
他の作家さんとは違和感があります。
どちらも内容は同じといっていいと思います。
〇呉三国志長江燃ゆ(伴野朗)集英社文庫全10巻
呉を主人公としたことには拍手を送りたいです。
独特の切り口で、作者の主観が入っているので
演義と違和感があるとの評もあります。
私は小説なんだから、それでいいと思いますが・・。
孫権死後ももう少し書いて欲しかったです。
〇小説三国志(鄭飛石)光文社文庫全3巻
韓国の国民的人気作家の三国志です。
蜀滅亡までですが、
独特の切り口で、面白かったです。
大穴的にお勧め
〇三国志(北方謙三)ハルキ文庫全13+2巻
私は、これから入りました。
でも、言い切ってしまえばこれは三国志ではなく北方三国志です。
最初に読むと、他の演義系の小説や訳本との違いに戸惑います。
後でもいいかな。
内容は著者のオリジナルと言っていいと思います。
鄭さんの小説三国志を押します。
本来なら、三国志演義の訳本を読んでから、
小説に進み、正史三国志訳本が王道かとも思いますので・・・。
吉川英治さんの「三国志」や、
横山光輝さんの「三国志」も含めて、
日本で読める「三国志」の小説は、
ほぼ、三国演義120回訳本が底辺です。
(横山さんの漫画のベースは吉川三国志ですね。)
この120回本訳という括りで・・。
〇三国志演義(井波律子訳)ちくま文庫全7巻
訳本としては秀逸だと思います。読み易いですよ。
最も新しい訳なので現代語訳が馴染みやすいです。
〇三国志演義(立間祥介訳)徳間文庫全4巻
1988年訳本の新訂刊です。安定してます。
〇完訳三国志(小川環樹ほか訳)岩波文庫全8巻
戦後では一番古い訳本です。
〇三国演義(安能務訳)講談社全6巻
文章は綺麗で読み易いです。
お勧めは『三国志演義(井波律子訳)』です。
個人的には安能さんの「三国演義」を推したいのですが、
一部では評判悪いので・・。
なお、どれも基本は当然一緒ですので、
複数読むと「あれっ、これ読んだよなあ。」になります。
120回本を読まれて、小説を2~3種読まれて、
更に興味が湧かれたなら、正史三国志日本語訳もどうぞ・・。
〇正史三国志(今鷹真ほか訳)ちくま学芸文庫全8巻
歴史書としての正史三国志の訳本です。
一度読まれるべきだと思いますが、
始めにこれを読んでしまうと、演義系を読めなくなりそうです。
取りあえず史実ですから、
史実と虚実を取り混ぜた物語である演義との相違をあえて探すのも、
三国志にはまってしまった人間にとっては堪らなく嬉しいのですが、
でも、個人の略歴の箇条書きですから、
正直読みきるのは疲れますよ。
劇画じゃ駄目かな~^^
中央公論社の中国劇画「三国志」全4巻・・
監訳は陳舜臣さん・・
内容的には大方の三国志演義の内容に基づいてると思うんだけれど・・
入門編としては、最適だと思いますよ・・お薦めです~^^
吉川英治の三国志が良いでしょう。
吉川英治の三国志は、演義三国志を自分流に語りなおしたものですが、演義三国志自体も非難されるほど作り話ではなく、史実(正史の記載)に基本的に沿っています。その語られていない部分を面白くアレンジしたところはあっても、昨今の大河ドラマのように史実を捻じ曲げているところは基本的にありません。
それを踏まえて、吉川英治が自身の現代歴史家の目で語りなおしているので、納得のいく読み物になっています。
曹操を悪役でなく、人望ある英雄と描いているところなど、勧善懲悪を脱却したものといえましょう。
昨日も私は諸葛亮が法正という人物に「法は厳正に」と諭すところを正史で読んでいましたが、「君は一を聞いて二を知らない」というセリフまで吉川三国志と同じです。
これを読んで楽しんで、なお史実が知りたければ正史が文庫で出ていますから、それに入ればよいです。
正史は、史記と同じく中国の歴史書の形式を踏まえ(書や志がありませんが)、その中で名著とされている本で、面白くないなどということはありません。下手な小説など読むよりずっと良いです。
ただし、登場人物にある程度の知識をもっていないととっつきにくいです。
ご質問はまだ正史と演義と現代の小説の区別が良くわかっておられないと思われますので、まずは本屋へ行って吉川三国志を求められるのが良いと思います。
最近の復刻版は、諸葛孔明の死以後の補完部分がありませんので、そこは旧版や他の本で補完してください。
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